第97回日本生理学会大会 大会長
小野克重(大分大学医学部 病態生理学講座 教授)
花田礼子(大分大学医学部 神経生理学講座 教授)
第97回日本生理学会大会を、2020年3月17日(火) ~ 19日(木)の3日間、大分県別府市の別府国際コンベンションセンター ビーコンプラザを主会場に開催いたします。本会の開催にあたり、一言ご挨拶とお願いを申し上げます。
生理学とは、生命現象について機能の面を中心に研究するものであり、生命現象の根幹を見据えた研究であることから、生物学と同義と言うことができます。生物の機能は、構成する分子機能、細胞機能、組織機能、器官機能の高度な統合の上に成り立っており、そのメカニズムを多方面からアプローチして生体が働く仕組みの「理(ことわり)」を論理的に解明する学問が生理学なのです。従って、生理学は生命科学の基礎を支える最も重要な学問分野の1つです。
日本生理学会は、大正11年 (1922年) に発足して以来、長い間、日本および世界の生理学の発展に寄与してきました。日本生理学会大会は発足以来、ほぼ毎年開催され、2020年の大会で97回目を迎えます。本大会は日本内外の生理学研究者により最新の研究情報が発信され、意見の交換と討論の場を提供することで生理学全体の進歩と発展に大きく寄与してきました。また、生理学関連分野の教育に係わる多くの人が集まり、初めて生理学を学ぶ学生やこれまで生理学に馴染みの無かった異分野の人たちにいかに生理学のおもしろさを高い水準にて伝えることができるか、ということを目標とした生理学教育者の能力の開発、並びに新たに生理学教育を支える人材の育成・支援の場でもあるのです。この歴史ある日本生理学会大会が初めて大分県で開催されることとなり、担当者一同は一丸となり、実り多い有意義な大会とすべく鋭意準備を進めています。
約150年前、中津藩(大分県)の福澤諭吉は著書「學問ノスゝメ」により、それまでの日本人が知らなかった自由・独立・平等等の新しい価値観を紹介し、新時代へ向かう日本人を学問の奨励を通して啓発いたしました。第97回日本生理学会大会では、福澤諭吉の言葉に習い、生理学探究の道を再度見直し、本学会に参加する研究者・教育者・学生が何らかのブレーク・スルーを見いだし、発展・飛躍へと繋げることができるような場になることを期し、大会テーマを「生理學ノスゝメ ~分子から個体まで~」といたしました。参加者が生物の分子機能から個体機能までの最新の生理学研究情報を発信し議論すると共に、多岐に及ぶ現在の生理学研究を広く深く学び糧とすることができる大会となることを願っています。
是非、多くの皆様の積極的なご参加とお力添えを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
2019年5月吉日